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親父小言

3月27日 青田暁知 大聖寺住職

「親父の小言」をご存じでしょうか。実はこのもとになったのが私の住職を務める福島県浪江町大聖寺の庫裡に掲げられた「親父の小言」の四十五の文章です。

私の父の青田暁仙が昭和三年、三十三歳の時に書いたもので、私が物心をついた時にすでに庫裡に掲げられていました。私にとってはいずれも親しみのある言葉あかりです。ただ、私は十一歳で父と死別しましたので、この小言について父に深く聞くことはついにできないままでした。ですから、父がどういう思いを込めてこれらの言葉を認めたのか、小言を言った親父とは、父の父である青田八郎のことなのか、それとも自分の思いを架空の小言親父に託したのか、はっきりしたことはわかりません。

昭和三十年代の半ば、この小言を町内の商店が商品にして売り出したのをきっかけに、評判が評判を呼んで全国に広がりました。途中、新たな語句が加わったり、逆に本来の言葉が削られたりと、父のオリジナルとは随分異なるものになってしまいましたが、小言が広がったのは、何か人々の琴線に触れるものがあったからでしょう。

火は粗末にするな、朝きげんよくしろ

神仏をよく拝ませ、不浄をみるな

人には腹を立てるな、身の出世を願え

人にばかにされていよ、年寄りをいたわれ

恩は遠くから隠せ 万事油断するな

女房の言うことは半分 子のいうことは八九聞くな

家業は精を出せ 何事も構わずしろ

たんと儲けて使え、借りては使うな

人には貸してやれ、女郎は買うな

女房を早くもて 難渋な人にほどこせ

生き物を殺すな 年忌法事をしろ

魏路は必ず欠くな 博打は決して打つな

大酒は飲むな 大めしを食うな

判事はきつく断れ 世話焼きになるな

貧乏を苦にするな 火事の覚悟をしておけ

風吹きに遠出するな 水はたやさなぬようにしろ

塩も絶やすな 戸締りにきをつけろ

怪我と禍は恥と思え ものを拾わば身に着けるな

小商いものを値切るな 何事を身分相応にしろ

産前産後を大切に 小便は小便所にしろ

泣き言は必ず言うな 病気は仰山にしろ

人の苦労を助けてやれ 不吉は言うべからず

家内は笑って暮らせ

ただ、小言の為書には「親父の生前中の小言を思い出して書きました。今にして考えればなるほどと思うことばかりです」の一文があります。青田八郎の言葉であることを裏付けているようですが、父は石田梅岩の石門進学に熱心に勉強していたことを考え合わせると、あるいはその影響ではとも考えられます