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戦略は1杯のコーヒーから学べ 永井孝尚著 KADOKAWA出版

マーケティングを勉強しなければならなくなり、手にとった一冊です。ご存知の方も多いと思いますので、自分のメモ代わりです

ドトール、スターバックスとひしめくコーヒー業界において、架空の「ドリームコーヒー」がどのように自分のポジションを見つけていくのかを通じて、マーケティング戦略を体感できる本です(全10章(杯))

 

 

【1杯目 ドトールの本当の勝因は低価格戦略ではない】

価格・客層ともに同じドリームコーヒーのライバルである高津珈琲が、数十円値引きを始め、同様にコスト競争を始めようとし、ロブスタ種(缶コーヒーに使用される丈夫で格安)を使おうとするが、上司にあえなく反対。ドトール社の戦略を教えられる。

ドトール社の戦略

単価300円を150円にするためには、顧客を4倍にすれば売り上げは倍にすることが可能

(単純に品質落とすなどの経費削減による低価格を実現を目的としない)

①フルサービスからセルフサービスへ、②滞在時間を立ち飲みにして、回転数アップ

③コーヒー1種類ただし品質は300円のまま、④価格半分、⑤提供時間を速く

※1980年代は他社の価格も高く、価格を下げるインパクトがあり、差別化(ブルーオーシャン)が明確(現代はコンビニ等の台頭もあり、不可。むしろ星野珈琲店(フルサービスのお店も展開していることから、戦略には賞味期限あり

 

【2杯目 邪道と言われた缶コーヒーでUCCが成功した理由】

「アンケートでニーズを消費者に聞いてもわからない」という言葉をもとに隠れた消費者のニーズをつかむことを、UCCの缶コーヒーの開発戦略を通じて学ぶ

UCCの缶コーヒー開発物語

駅の牛乳スタンドで飲みかけのコーヒー牛乳の瓶を返却することを経験を通じて、常温で持ち歩ける(飲みかけでも返却することがない)ような缶コーヒーを開発するものの、ミルクとの分離や殺菌による風味の悪化等の課題があり、解決まで1年をかけて発売。ただし、発売後の売り上げが芳しくなく苦しむものの、大阪万博への売り込み、ホット&コールドの自販機の開発等で市場開拓に成功

つまり、「どこでも飲める」という隠れた顧客ニーズを見つけ出したことがポイント。隠れているので、顧客自身も気づかず、アンケートではわからない

 

【3杯目 マクドナルドがプレミアムローストコーヒーで目指したもの】

マクドナルドのプレミアムローストコーヒーは、キャッシュカウ(金のなる木)であるビックマック販売につなげるためのものである(商品の位置づけの明確化)

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【4杯目 コーヒーの香りを失ったスタバが考え続けたこと

ライバルの高津珈琲が独自のブレンドコーヒーで市場から認知されて1年、豆の品種をを格安なものに変更、豆を挽くオペレーションを店内からセンターへ移管する等の合理化策を取ったところ、味の劣化を招き、有名バリスタは退職し、顧客は離れ、現場の士気も下がり、当然売り上げも下がるということにつながった。

スタバにおいても2007年から2008年に売り上げが伸び利益が半分になったことがある。創業者のハワードシュルツがCEOに返り咲き、「スタバらしさ」を取り戻すことに注力した。言い換えれば業績の低迷は「スタバらしさ」を失ったことが真の原因と考え、成長率と効率性を追求する結果、スタバの魅力が失われたと分析し、魅力を取り戻すために原点回帰すべしと、バリスタの再研修、コーヒーの香りを邪魔するフードの見直し、店舗でコーヒー豆を挽くオペレーションへの再修正、最新鋭のコーヒーマシンへの投資等にくわえて、スタバらしさを失わないように従業員向けの新しいビジョンを策定(これでCEOが変わってもスタバらしさは失われない)。つまり、行き過ぎた合理化は、老人のようにやせ細り、ムダと一緒に強みまで失う場合もある

【5杯目 ネスレはなぜコーヒーマシンを無償で提供するのか】(ジレットモデル)

製品本体の価格を抑えて、お得感を演出しつつ、消耗品を高い利益率で販売すれば、継続的に安定してお金が入る仕組みが出来あがるネスレはコーヒーマシンを無償提供し、コーヒーカートリッジで儲ける戦略を打ち出している。併せて、ネスレはインスタントコーヒー市場ではなく、ユニマットのようなビジネス客の市場を獲得を狙った戦略をとったのである。ここで1つ留意点は、ネスレのような巨人と同じ土俵で戦うのかはしっかり見極めなければならない

【6杯目 5度目の正直で大ヒットしたセブンカフェ】

セブンイレブンのコーヒー提供の歴史

1980年代 サイフォン小分け⇒1時間ごとに作り替えが必要、実行困難

1988年代 ニュードリップマシンで淹れたてを提供⇒焦げた香りが店内に漂い×

1990年代 カートリッジ方式⇒風味がよくなく、スタバに勝てない状況

2000年代 セルフ方式のエスプレッソ+カフェラテを提供⇒1日25杯のみ

2011年代 200社の味を分析、豆にこだわり小型マシン開発⇒1日95杯◎

セブンイレブンの真骨頂は、仮説検証を愚直に繰り返すこと、そこから得た学びを次に生かすこと

(例:ユニチャームインドネシア市場開拓の際の小分け、富士フィルムの化粧品事業への進出、東レ炭素繊維、シャープの液晶)

 

【7杯目 コーヒー界のアップル ブルーボトルの第三波】

現在のコーヒーショップ(喫茶店)の動向について確認すると、スタバによる第2波から、ブルーボトルに代表される第3波へ(外部環境)

①一言でいえば、個性と多様性の追求

②生産と流通は小規模で、豆からカップまでの透明性の確保

③コーヒー豆に求めることは、豆の特性を楽しむシングルオリジン

④提供時間は、ゆったりと、お店でしっかり豆を挽き、淹れる

⑤文化は、オープン&シェア。ライバル店を尊重し、コーヒー市場を拡げる

上記から、以下の点を導き出す(SWOT分析、ポジションニング)

①ドリームコーヒーの強みは何か

 農園からカフェのお客さまのカップまですべてのプロセスを一元管理できるため、コーヒー豆の個性を生かしながら多様で個性豊かなコーヒーを届けられる 

②その強味を必要とするお客さまは誰か

 豆の個性にこだわり、最高に美味しいコーヒーを楽しみたいと思っているお客さま

③そのお客様は何を必要としているか

 コーヒーの流通経路がしっかりと見える化されていること。また途中で風味が劣化しないように品質管理が行き届いていること。自分自分好みの美味しいコーヒーを安心して提供してくれること

④お客様はドリームコーヒーを選ぶためにはどうしたら良いか

 社内全事業が緊密に連携して、品質管理を徹底すること、コーヒー豆を生産してからカップに届くまでのすべてのプロセスを見える化し、お客さまに説明できるようにすること。最高に美味しい状態で、コーヒーを提供できること。たとえば「今年マリオさんの畑で採れたコーヒー」みたいな感じ

【8杯目 お客さまはカフェの何にお金を払うのか】

製品設計の第一案は(お客さまに何を届けるのか)以下の案として今後深堀り

①製品の付随機能は、トレーサビリティ(豆の品質の見える化

②製品の実態は、美味しいコーヒーと居心地の良いお店

③製品の中核は、ほっとできるゆったりとした時間で手軽な脱日常

【9杯目 サスティナブルでないコーヒーは生き残れない】

いろはすは、地球温暖化に貢献できるというコンセプトから、潰せるペットボトルが大ヒット。持続可能性という観点からコーヒーも、生産者と消費者の双方にメリットがある形にすることが重要。

ユーカリが丘は、8,400戸予定で計画し、毎年200戸を売り出し町の持続可能性を担保した良い例。山万という不動産屋さんが町全体を考えた結果。

コーヒーも同様に持続可能性を考えれば生産者にコーヒー栽培の教育研修を行ない、ビジネスとして独り立ちできる仕組みを作ることにする

製品設計の最終案は(お客さまに何を届けるのか)以下の案として今後深堀り

①製品の付随機能は、トレーサビリティ(豆の品質の見える化

②製品の実態は、美味しいコーヒーと居心地の良いお店

③製品の中核は、ゆったりとした時間で手軽に脱日常を体験しながら継続的に発展できる社会を実現

【10杯目 スタバが広告費をほとんどかけない理由とは】

ネガティブキャンペーンを実施されても、反撃しない。スタバらしさは何かをしっかり訴求し、会社の個性を表現したいと考えた。店舗自体がスタバの広告塔であり、一度に一人の顧客、一度に一つの店舗、一度に一つの市場と向き合っていれば必ず成功する。現代の顧客は感動体験をもとめており、消費者がお金を使う意味を企業は提供(理解させる、訴求する)する必要がある

以上